– 劇場や演劇にはもともと興味があったのですか?
高校の演劇部で演出を経験し、大学では演劇教育を学びました。演劇を通してコミュニケーション力や表現力って何なのかを追求するうえで、即興演劇を勉強したり、小劇場の演出助手をやらせてもらいました。稽古場や関わっている人同士のコミュニケーションをどう作るかや、それを舞台に乗せることが面白くて。即興演劇は今もライフワークとして舞台に立ち続けているので、切っても切れない関係ですね。
その土地の劇場・ホールならではのイベントを
– 現在の担当は?
事業プロデュース部門で、イベント文化事業の企画・制作・運営を行っています。鑑賞するだけでなく、アーティストと触れ合って話す機会をつくったり、ダンスや演劇がどのようにつくられているかを知ることができたり、楽器に実際に触れてみるような、一歩踏み込んだ企画がたくさんあります。
また、ホール単体の悩みというより、そのホールがその地域にどのような存在として機能するのが良いのか、地元の方と一緒に考えることが多いです。郊外の劇場やホールだと、「若者を呼び込みたい」「中高生が文化芸術に触れる機会が少ない」など、その地域の方たちが感じている課題があります。それを踏まえ、年間を通しての事業企画の提案も行っているんです。「住民の中に海外の方が多い地域だが、なかなか交流のきっかけがない」というようなこともあり、例えばベトナムの方が多いのであれば、ベトナムの楽器を演奏できるアーティストを招いたイベントを一緒に考えて実施しました。交流のきっかけをつくれただけでなく、ベトナムの方たちには「故郷の地元の音楽だ」と喜んでいただけました。
直接住民と向き合い、協働で劇場を創る楽しさと難しさ
– 仕事で苦労する点、やりがいを感じる点は?
住民の方々から「あのイベントが楽しかった!」と言っていただいたり、笑顔でホールから出る姿を見ると嬉しくなります。地域の方やお客様と直接関われる点は非常にやりがいを感じます。
また、地域住民の方々と意見交換をし、その地域ならではの施設のあるべき姿を一緒に考えて、実現していくことを大切にしています。その一方で、郊外のごく小規模な施設だけでなく、都市部の大劇場まで、条件や課題の異なる施設や企画に多岐にわたって対応するので、これから場数を踏み、経験を積んでいきたいところです。とくにコロナ禍でオンライン会議が増えてからは、立て続けに会議があったりすると視点の切り替えが難しくて。
学生時代やプライベートで演劇に携わる際の、稽古場でコミュニケーションの場をつくる経験は、社内のチームや現地の方たちと活動する中で活かせている気がします。