前川國男が設計を手掛けた世田谷区庁舎と区民会館は1959年に竣工し、長らく区民の生活や文化活動を支えてきた。施設の老朽化により再整備計画が立ち上がり、保存が論点になる中、設計プロポーザルではこれまで親しまれてきた空間特質を継承しながら機能の向上を図る改修提案を行った佐藤総合計画が選定された。特徴的な客席の折板構造やワンスロープ型の客席形状は継続しつつ、段床勾配や客席幅の改善、楽屋棟の新築といったメリハリをつけている。
弊社は施設計画及び舞台設備計画、 備品計画のコンサルティングを主に担当した。舞台機構は電動化や反射板の大型化、客席迫りの導入を行った。使い勝手を考慮し、幕形式から反射板形式への転換は、幕をたくし上げずに行えるよう工夫した。フライタワーの躯体や荷重条件といった改修特有の制約がある中で実現させるため、舞台の中に鉄骨フレームを組み上げた。
今後、世田谷区本庁舎等整備工事は、2期、3期と続き、低層の建物に囲まれた「中庭」の整備が予定されている。完成後は区民と行政の協働の象徴として、世田谷区民会館と一体の運営が期待されている。