阿久根市は、鹿児島県北西部の海沿いに位置する人口約2万人のまちである。 市民交流センターは、老朽化した市民会館の代替施設で、541席のホールと5室の交流室 などで構成されている。ホールの配置は、通常とは逆にロビー側に舞台を配置し、下手側の舞台脇に設けた客席動線に可変性を持たせることにより、特殊な舞台形式や特別な客席の設置など、さまざまな劇空間の構成を可能にしている。それに呼応し、客席は非対称で、渦巻きのように立体的に空間を包み込んでいる。ホールの内装は躯体そのものであり、音の響きを配慮したワンボックス型の大空間としている。その構造体の中に幕類やスポットライトなど、劇場利用のための装置が組み込まれている。日常的な利用促進のために、積極的に外光を採り入れ、外部や図書館から活動の様子がのぞき込めるようにしている。ここにしかない個性を持つ施設の計画を進めるにあたっては、何度も市民ワークショップを開催し、模型を使った丁寧な説明を行い、合意形成を図った。あわせて、管理運営計画策定支援も行い、ホール機能を最大限発揮できるように、開館後の管理運営方法の検討についても協力を行っている。