渋谷公会堂は、区所有地の一部に定期借地権を設定し、民間事業者がその権利金相当額を新庁舎 新公会堂の建設費等に充てることで、区の建設にかかる費用を実質0にするスキームで整備された。初代の渋谷公会堂は昭和39年に開館し、「ロックの殿堂」として音楽ファンに愛され、また、テレビの公開生番組の収録会場としてお茶の間でも親しまれていた。平成17年に耐震強化工事が行われたが、老朽化にともない平成27年に閉館していた。弊社は、新たな公会堂の建設にあたり、設計チームの一員として機能面からの設計支援と舞台特殊設備の設計および施工監理業務支援を行った。二代目・渋谷公会堂は、初代の遺伝子を受け継ぎ、立地条件の良さと客席数の多さから、ポップス系コンサート興行が中心となると想定された。そこで、近年の大規模コンサートでは多彩な機器が持込まれることや舞台照明や音響、映像機器の進化に対応できるように、吊物機構の積載荷重や、電気容量と回路数を増やす等、十分なインフラを整備した。また、すのこには仮設吊り用の鋼材を設置するなど、舞台セットや舞台特殊設備の持込機器の取付にも配慮している。その他、区の事業として毎年、成人式や区民オーケストラの定期演奏会、年末の第九、区民オペラ等の催しを行う想定であることから、音響反射板とオーケストラピットを設置した。