ドルトン東京学園は、長い歴史をもつ「東京学園高等学校」に中等部を新たに設置し、中高一貫校として2019年4月に開校した。校舎内には、生徒が自ら学習環境を選択し、自ら工夫して学習できる環境が随所に用意されている。弊社は、その中にある245席の講堂について、設計段階から施工段階にわたってコンサルティング業務を担当した。
当初、講堂は演劇・講演会等の利用を主目的としていたが、のちに生音にも対応ができることが求められた。そのため、反射面である舞台側壁の下部を開閉式のパネルとし、さらに舞台側壁の4か所にスリットを設けることで、反射板形式と幕形式、それ ぞれの利用が可能となる計画とした。パネルを閉じると反射板形式としての利用が可能であり、パネルを開くと舞台袖との動線が確保でき、スリット間に袖幕や大黒幕を設 置することで幕形式としての利用が可能となる。ホールの内装は「新緑の森」をイメー ジし、仕上げは木で統一され、座席はグリーンを基調として数色の張地がランダムに配置されている。舞台後壁の下部はガラス張りとなっており、可動間仕切りを開くと外部に広がる豊かな緑や光が目に入り、開放感のある空間へと一変する。コンパクトながらも居心地の良い、まるで森の中にいるような気分になるこの講堂が、末永く生徒たちに愛される空間となることを願う。