新宿住友ビルは、淀橋浄水場跡地エリアの再開発事業の一環として1974年に完成 した。竣工当時は西新宿の高層ビル街の草分け的存在であったが、 建物の老朽化に伴い、ビルの機能更新や設備リニューアルが計画された。 そこで、 国家戦略特区の枠組みを活用し、特定街区の都市計画を変更することで、 日本最大級の 「全天候型屋内 アトリウム広場」を、 災害時の避難拠点を兼ねたイベントスペースとして整備すること となった。 元々、 屋外であったスペースに屋根をかけて、 アトリウム化するという他に例をみないビッグプロジェクトであった。
弊社は劇場コンサルとして、 計画初期段階では様々なイベント時の使い勝手や仮設し易さを想定し、 搬出入動線、控室、 吊物機構、 電源盤、倉庫等のインフラの考え方を整理し、開発後期では大型ビジョン、 吊物バトン、 配線ピットの配置や仕様の検討、また消防協議等をサポートした。 築約47年の既存建物の大規模リノベーショ ンであり、老朽化した建物の一部がイベントスペースとして生まれ変わり、 新しい価値を創造するという画期的な計画であるとともに、 新宿住友ビル三角広場は、近年の潮流である、 広場やアトリウムなどの “パブリックスペースの劇場化”の先駆的なモデルとなっている。