鹿島市民文化ホールは、旧市民会館が立地していた場所にホールの機能を継承し、民俗資料館を集約するというプロジェクトにより誕生した。
弊社は設計プロポーザル提案時より設計者のもと参画した。また、鹿島市の委託を受け、備品選定業務を行った。
プロポーザルの時より、延床面積の上限が限られていたため、1 つの諸室を様々な用途で使える「重ね使い」を推奨し、限られた空間の中でも日常・非日常いずれにも対応できる、諸室や共用部のあり方を提案した。ホールに隣接する交流ラウンジを、舞台・客席それぞれの拡張空間として位置づけ、固定バトンや設備インフラを備えることで、単独での利用も可能とした。さらに、ホール利用がある日/全館を使う日/利用がない日といった様々な利用パターンを想定し、空間の使い方やゾーニングなど運用ルールについても検討を行った。
ホールはシューボックス型を基本として、脱着式の幕でプロセニアムアーチを形成することも可能とした。また、市民の発表会利用を想定し、バックヤードエリアから客席までの動線に留意した。片側もみあげ形式を採用した客席も特徴的で、演者・観客双方の顔を持つ市民のためのホールとなっている。