宮城県の気仙沼中央公民館は、東日本大震災で被災した旧中央公民館の災害復旧事業として整備された。329席の可変型ホールのほか、体育館や文化活動の諸室が設置されている。弊社は設計チームの一員として設計・監理を支援したほか、市民参加による事業推進のための市民ワークショップにも携わった。
「市民の日常に寄り添う、 市民が主役の公民館」となるように、いつでもだれでも気軽に訪れる施設を目指した。建物の中央にKラウンジと名付けたフリースペースを設け、周りにガラス張りの多様なスタジオ群を配置することにより活動の様子を覗いたり、間仕切りを広く開放して一体的に利用することも可能になった。
舞台設備の計画では、可変性の高いホールでありながら、 専門の技術スタッフではなくても簡便かつ安全に操作できるように配慮した。ボックス型のホール空間は舞台袖壁を回転パネルとしたことで、簡単に幕形式から反射板形式に転換できる。また、客席前方の迫り機構と客席ワゴンにより段床形式から平土間形式、あるいはセンターステージ形式への転換も容易にした。ホールの空き日には平土間形式にし隣接するホワイエや Kラウンジと一体の空間とすることで、市民の憩いの場として活用できる。