劇場スペシャリストの参加
優れた劇場に必要な条件とはなんでしょうか。多様なエンタテインメントの公演を可能にする舞台の広さや性能は欠かせないでしょう。演出として華やかに魅せる舞台特殊設備も必要です。客席数や客席の構成、サイトラインも、十分に検討しなくてはなりません。楽屋の使い勝手なども重要な要素です。このように劇場の良し悪しを決める要素は多岐に渡ります。これら一つひとつの空間の性能や設備について最適な答えを出すことは、いかに優れた建築家でも容易ではありません。そこで、劇場建築を専門とし、膨大なデータや多くの経験を持つ私たちの出番となるのです。
劇場やホールを建設する際に、施設のコンセプトや使われ方を踏まえた施設計画の実現のために必要な情報を設計者に提供し、助言を行うのが、コンサルティング時のハード担当の役割です。舞台機構や舞台照明などの舞台特殊設備については、設計そのものを担うこともあります。また、技術的なサポートや機能についての情報提供にとどまらず、空間デザインの発想を広げる手助けを求められることもあります。デザインの発想の源となる資料を集め、アイデアを提供し、設計者とともに設計コンセプトの立案から具現化に向けて議論を重ねて、新しい時代を切り拓く劇場施設をつくり上げてきました。私たちが参加した多くの施設が日本建築学会賞やアメリカ劇場技術協会建築賞を受賞するなど、建築としても高く評価されており、私たちの取り組みの成果として挙げられるでしょう。