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【ご報告】渋谷キャスト トークイベント「Urban Catalyst Vol.5 激変するニューヨーク・メディア業界の先端で想うこと」

Urban Catalyst Vol.5
激変するニューヨーク・メディア業界の先端で想うこと

先日10/15に行われた Urban Catalyst Vol.5のリポートです。
NYメディア業界の先端を疾走中の津山氏に、アメリカのメディア産業の現状と、彼女のジャーナリストスピリッツをお伺いしました。

カタリスト:津山恵子氏
ニューヨーク在住ジャーナリスト。日本外国人特派員協会正会員。
米国社会・経済について幅広く取材し、ビジネス・インサイダー・ジャパン、週刊ダイヤモンドなどに執筆。YouTube創設者スティーブ・チェン、Facebook創設者マーク・ザッカーバーグ、ノーベル平和賞受賞者マララなどを単独インタビュー。著書に『教育超格差大国アメリカ』など。元共同通信社記者。

-My Biography-

こんばんわ。初めてお会いする方も多いので前半は、私の事、後半はNYメディアについてなどをお話します。

私はジャーナリスト・フォトグラファーを生業としていますが、10年前までは共同通信社の経済社の記者でした。
テレビやラジオのリポーター、長崎平和特派員など、フリーになってから自分の意見も反映させる、いろいろなお仕事をしています。余談ですが、アメリカのレジュメでは、現在が一番上で、日本の履歴書と反対です。
今、自分は、何に能力があって何ができるかを一番上の最初に書いていないと、採用する側も困ります。
書類段階でダメです。日本と違いますね。

-Not Careers But A life Plan - 計画してみると…

私は、“夢や計画を持っている事は大事だ”と強く思います。
私は、今190ケ国からの移民がいる、NY市のクイーンズに住んでいます。若いヒップスター(ミレニアル世代)・ゲイなどが多く住むエリアです。近所のバーテン兼ロースクールの学生、バーのオーナー、ドラッグクイーン、などと餃子パーティーしたり、年中、長屋的な交流をしたりして過ごしています。
近所のお友達からも、お金持ちではありませんが、好きな仕事、原稿を書いて生活しているのは、凄いねと言われます。会社を辞めて、順調にフリーになったのかと思われますが、常に夢を持ち、計画をして生きてきました。
通信社時代、私は農水省や郵政省の記者クラブなどにいました。将来は海外の記事を書いてみたいと思っていましたが、特派員にならない限り、現実的になるのは、難しい事でした。そこで、企画で乗り切ろうと思い、21世紀を迎える時に、テレビに対する大型企画があり、海外企画をたて、社内交渉しました。
当時、テレビ放送が未だ始まっていなかったブータン王国と普及率10%だったインドに行き、テレビのあるなしでどう違うのかといった企画でした。日本にいると、真面目に仕事をしていれば誰かに見てもらえると思いがちですが、社内で交渉したお陰で、実現する事ができました。
セクハラ・パワハラにあった時も、怒鳴られた時の声をテープに記録して、上司に配置替えの交渉をし、成立しました。
いい子にしていたい気持ちもありましたが、このような経験から、“自分から何かをしなければいけない”と学んだと思います。

海外企画ばかりでは、社内に批判が起こるので、国内の企画も頑張りました。例えば、中島みゆきさんの“悪女”という曲にあわせて、(郵政省記者クラブにいた時に仲良くさせていただいた)当時大臣の野田聖子さんに、高架下の飲み屋さんで、撮影していただきました。この野田さんが一番美しい写真ではないかと思っています。
仕事を通して、色々な好みを持った上司がいて、何が採用されるか分からないので、色々な手を用意しておくことが大事だと痛感し、様々な事をしているうちに、ネットワークが広がり、ラオス出張なども実現することが出来ました。

-One thing leads to another,-Do what you really love to do!

私は、一つの事を続けていると次に繋がると思っています。好きな事を続ける事です。私も
・人と話すのが好き・好奇心→取材    
・英語が好き(会社員時代も長崎にて自己投資で英会話を習う)→N,Yへの道
・人間力を高める→ネットワーク       
・平和とは?と考え続け→長崎平和特派員
・小さい時から書くことが好き→執筆 
と繋がっています。
そして、いろいろ事を学んで、準備しておく。準備するほど怖くないです。
また、相手の気持ちになる努力をするようにしています。
坂本龍一さん マララさん(ノーベル平和賞受賞者)などの取材も、好きな事を続けてきた結果、チャンスを得て、準備をして、挑んできました。

-ドナルド トランプ-

それでは、NYのメディアのお話をします。
まずは、発売されたばかりのボブ・ウッドワード氏の著書トランプ氏の本「Fear Trump in the whitehouse」について。
著者は、裏付けを取る為にあらゆるインタビューを行い細かな取材をしました。トランプ氏の事を抜粋しますと

・本を読まない、ブリーフィングを聞かない
・自分が何を知らないか知らないし、気にしない。
・自分が一番で、批判があると耐えられず、過剰に反応
・ビジネスマンとしての直感に頼る
・怒りを抑えられない

3つの“I“ Intution(直感)・Impulse(衝動)・Ignorance(無知) (東大 久保教授より)と言われています。
真面目な本ですが、トランプ氏にまつわる真実のエピソードは、クスクスと笑ってしまうようなものもあります。日本語訳ももうすぐ出るはずです。トランプ氏が変な人だと思う方も多いと思いますが、

トランプ大統領の支持率は、意外にも伸びていて、

2017年8月27日まで  支持率25% 不支持60% 
2018年10月7日(現在)支持率43% 不支持57%
と上がっているのです。

トランプ支持者(移民・グローバル化嫌い)にとっては、彼は公約を果たしています。TPP脱退・パリ協定脱退・移民政策ゼロ・トレランス、中国への強硬姿勢などです。移民・グローバル化嫌いは大勢いましたが、表面化していませんでした。

-米メディアの現状-

トランプ氏の登場により、トランブーストといわれ、テレビ視聴率上昇・新聞デジタル購読者急増しました。
それほど、トランプの動向が気になる人が多いのです。
New York Timesのデジタルオンリーが280万人に増えました。(日本の新聞4212万人 米4042万)
※アメリカは紙が高く新聞が高いですが、以前より倍増しています。

ダーティ・ウオー というトランプによるメディア攻撃もありました。
「ジャーナリストは国民の敵」とツイートしました。
“THE FAKENEWSMEDIA IS THE OPPOSITON PARTY.
Is it very bad for our Great Country? BUT WE ARE WINNING“ #FAKENEWS
と書かれました。大文字が小学生の様です。トランプ氏のツイートは1週間に20回程あるようです。
それに伴い、現在、アメリカのメディアはトランプ氏批判・分析などを毎週の様に掲載しています。
トランプ氏のメディア攻撃の発言を受けて、ボストングローブが8月16日に報道機関に呼びかけし、350新聞が社説を掲載し、「ジャーナリストは敵ではない」と一斉に発表しました。
トランプ氏がメディアの発言力を弱めようと計画的に動いている、民主主義の危機などと記載しています。
日本よりも記者達が必死になって仕事をしているという事が分かります。

他にも#metoo などが、アメリカのメディアが頑張っている証拠の一つなのではないでしょうか。
新聞のスクープ記事が世の中を変えたという例です。NewYorkTimesとNewYorkerがハリウッドのプロデューサーのワインスタイン氏の30年に渡るセクハラ・レイプをスクープしました。それにより、各界の他の重鎮も性的暴力で訴えられ、辞任が続く事態になりました。昨年のパーソン・ザ・イヤーは、訴えを起こした女性達でTimeMagazineの表紙になりました。
その写真の端に、体の部分だけ映っていますが、次はあなたの番だと示しているものです。
私は、メディアだけでなく、市民も発言するべきだと思っています。私の家の近所のバーなどで気軽にTV討論会を見るハッピーアワーなどがあり、政治の事を話して、意見をすることが身近です。男女関わらず、自分の意見を持っているのが普通になっています。私は、日本でもそんな雰囲気になってほしいなと思います。
他に、ストーンマン・ダグラス高校で起こった、銃撃事件にまつわる話を紹介します。死傷者多数のこの事件は、その後、残された生徒達により、資金450万ドル(5億円以上)が集められました。銃規制のデモを全米で、夏70回も行いました。広告代理店を使い、効果的なロジスティックスと予定を立て、更にロビイストを雇い、銃規制を更に訴えました。高校生という、有権者で無い人々も、こんなに世の中を変えられるとい
う勇気づけられる事件です。

-Never be bored!!-わくわくしようよ!

私の近所の80歳のおばあちゃんがこの言葉をいつも言うのですが、世の中ってこんなもんだ・・・。と諦めるのではなく、自分がわくわくしたり、いろいろな人と一生懸命コミュニケーション取ったりする事で、少しずつ自分も変われるし、自分の周りも少しずつ変わっていけるのではないかと思います。
その一つの役割をメディアも果たすし、私達も果たさなければいけないと考えます。
アメリカにいる十数年で、とても感じますし、日本でもそうなってほしいなと思っています。
ご清聴ありがとうございました。

質疑応答

Q:
トランプ現象のお陰でメディアの売り上げや視聴率が上がっているということですが、世の中が悪くなればなるほど、メディアとしてはお金になる。お金が大事と思っているメディアが強くなるし、構造的に悪い方向に行っているのではないか?そう思うとわくわくできないのですが。
A:
よく理解できます。アメリカのメディアは、日本よりも市場主義です。
だからこそ、各メディアの各社が政治色を強いのです。逆に政治色が強くないと誰も見ないということが分かっています。
CNNはトランプを攻撃していますが、自分達はリベラルと言っているので、視聴率は多くないです。アメリカは歴史的にもずっと市場主義なのです。
ただ、トランプ氏のお陰で、新聞やネットニュースが読まれるようになったのはいい事なのではないかと思います。
新聞(紙媒体)の料金が高いため、あまり読まれていませんでしたが、トランプのニュースのために、若い層(お金を持っていない層)では新聞よりも安いネットニュースの契約が増えたようです。
Q:
自分が消費していたのは、NewYorkTimesなど、リベラル派なメディアばかりで、バイアスがかかっていたのだとトランプ氏が大統領になった事やその流れを見て、痛感しています。ご自身で広い視野を保つ為にどのような事を気を付けていますか?
A:
職業柄、広い視野で見なければならないと思いAppleのニュースアプリを報道機関設定しないで見ています。
朝、新聞を見た後に、ランキング通りのニュースアプリ記事を読んだりします。
アルゴリズム設定されていないようなところを見るようにしています。
Q:
アメリカで、対立構造が生まれている。トランプ大統領にしてしまった構造に対する反省の動きはメデイアや経済界にありますか?
A:
お答えはNoですね。確かに最大のキーワードは分極化だと思います。真ん中がない。
NewYorkTimesとワシントンポストは、最近、保守系の記者を雇いましたが、それにより、不買運動があったくらいです。
それでも果敢に、様々な意見を取り入れようとしているようです。
ジャーナリストの間で、トランプ氏の再選を阻むための研究会が計画され、様々な意見を聞くために極右系のジャーナリストを呼ぼうと提案したら、周りに反対されました。
反対の立場の意見を聞く事が無いという非常に危険な状況になっているのは事実ですね。